現 法人本部長 兼 統括施設長
皆様の幸せのために。生き生きと暮らせる場所を追求すること
このケアハウス「ハートピア石岡」は平成7年に誕生しましたが、当時私は土浦市内の中学校で教員をやっておりました。父と弟がすでに勤めており、福祉には元々興味があったということもあり、平成10年にハートピア水戸の話が具体的に持ち上がったのを契機に、思い切って退職することにしました。教員は 7年間勤めたのですが、辞めるにあたってはかなり思い切りましたね。
対象者が中学生から高齢者の方に変わり、正直、戸惑った部分もありました。しかも、当時は老人ホームやケアハウスの知識は、ほとんど持ち合わせていませんでしたから尚更です。しかし、人と関わり合う仕事という意味において両者は共通しております。
ご高齢の方であっても、このケアハウス「ハートピア石岡」は比較的元気なお年寄りがたくさんおられる施設ですから、幸いなことに福祉の仕事が素人の私でも会話ができたり、日常的に専門的な知識が必要だったりという感じではなかったのですね。
ここで過ごされている皆様は、様々な事情のなか施設にこられた方々です。これから自分はどうなっていくのか、不安に感じている方が、たくさんおります。だからこそ私たちは、入居者様お一人おひとりが、生き生きと暮らしていける空間を提供しなければなりません。
例えばこの建物は非常に綺麗で清潔ですし、洗練さと温もりが調和したデザイン設計となっております。立地一つとっても、駅前や住宅街の一角など、人が日常活動を盛んに行っている場所を選んでいます。そうした人の息吹や空気感を得られる場所であった方が、第二の住み処、晩年の老後を暮らす場所として最適だと考えたのです。
理事長が常々口にしている「近きもの喜べば遠きものきたらん」と言う言葉があります。身近な方に喜んでいただくことで、それが結果として私たち全員の未来へと繋がっていく。皆様に幸せになっていただくことこそが、私どもの原点であり、基本理念なのです。
この仕事は人から感謝される仕事であると思います。もちろん、それは世間一般の仕事のすべてについて言えることなのですが、目の前にいる方から直接「ありがとう」と感謝の言葉をかけていただけるのは、やはりとても励みになります。そういった心の触れ合いを感じる機会が多いのが、この仕事の醍醐味ですね。
この仕事は人と関わる仕事なので人とのコミュニュケーション能力が肝要です。利用者様とのコミュニュケーション、職員間でのコミュニュケーション。利用者様も、職員も、みなさんそれぞれの個性を持ってらっしゃいますので、積極的に会話をし、議論を繰り返していきながら、少しずつお互いの距離を近づけていくことが大事なのです。
また、私は常に笑顔でいるよう心がけています。笑顔は張りつめた人の心を和らげます。私は日々、皆様に笑顔で接することを忘れていません。それは職員も同様です。
この仕事を長く勤めていますと、ご病気や寿命を迎えられ、悲しいことにお別れしなければならない方が少なからずおります。やりきったなと思うことはほとんどなく、私はいつも「果たして、この方は幸せだったのだろうか」、「もっと何かやれたのではないか」という思いに囚われてしまいます。
そんな時、ご家族から「ここにいる間は本当に楽しかった」や、「とても喜んでいました」など、温かい言葉をかけていただくと、どこか報われるところはあります。これからも精一杯頑張ろうと、改めて誓う瞬間です。
ハートピアグループでは職員数も500人に達し、責任がある仕事も当然増えてきます。これだけの施設になってくると、私達が携わらなければならない役割というのはさらに重要になってくると思います。利用者の方、すべてに喜んでいただくために、既存施設、新設中の施設ともども、がむしゃらに突き進むのではなく、まずはしっかりと地に足をつけ、堅実に、確実に前進していきたいと思います。
これから高齢者の数は、ますます増えていくことが予想されます。当面は、そういったニーズに応えていくのが私たちの使命になるでしょう。平成12年に介護保険制度の開始以降も正直、財政的には厳しいのが現状です。しかし室内にしても、設備にしても、介護のサービスにしても、よりよいものを追求していかなければならないと思っております。
また、現在、介護職員の人材不足、若い人の介護離れなど福祉の現場は問題を抱えておりますが、これらに関しても、国にしっかりと提言できるような取り組みも、福祉関連団体の方で、作っていかなければならないと思っています。
利用者様も、働いている方も、地域も、皆がそれぞれに幸せにならなくてはいけないということですね。
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